私について言えば、「米国ロースクール留学→NY Bar受験」は留学前からの目標でした。職場で受験義務を課されていたわけではなく、「受けない自由」もあったのですが、周りの先輩方は大体皆さん受けていたので、受験しないという選択肢は思いつきませんでした。
ただ、実際に留学してみると、受験をしないという選択をする留学生も意外に多いことに気がつきました。アジア系の学生は受験する傾向が多く、南米やヨーロッパ系の学生は受験しない人が結構いるようです。
だからといって受験の意志が揺らぐことはなかったのですが、今振り返って考えてみると、「受験しない」という選択もあり得たように思います。
受験によるプラス面としては、以下が考えられます。
- 米国法の学び: 短期間で米国法の基本法を学ぶことができました。これはその後の仕事でも多少役に立ちました。ただし、所詮2ヶ月の付け焼刃勉強なので、これをもって実務に使えるわけではないということに留意が必要です。
- 英語力の向上: 受験勉強を通じて集中して英文を読み考えるという力がつきました。留学期間中、一番英語を読む力が伸びた時期でした。
- 精神的満足感: 合格した場合は、米国ロースクール留学を「米国の司法試験合格」 という形で終えることができ、達成感を得られます。
- キャリアUP: アメリカや国際機関で将来働きたい場合は米国の法曹資格があるとプラス評価されるようです。
受験することによるマイナス面としては、以下が考えられます。
- 時間的負担: 卒業後7月下旬までの期間を丸々受験期間に当てるというのは、考えてみれば勿体無いことです。この期間に開催されるインターンシップもあるので、これをみすみす逃すことにもなります。
- 精神的負担: 暗黙のうちに周囲から「NY Barは合格するのが当たり前」「NY Barにうからずんば人にあらず」といったようなプレッシャーがかけられます。
- 費用的負担: 受験料、旅費、宿泊費、BarBri受講料、登録費用等々。人によってはこの資格を生かしてキャリアUPする人もいるのでしょうが、そうでなければ投資回収できない自己満足に終わってしまいます。
- 体力的負担: Bar Examの勉強は短期間で詰め込まなければなりません。20代半ばで体力気力ともに充実しているJD生と立ち向かうのにはキツイ試験です。